品質技法Q&A
品質技法には、QFD、タグチメソッド、FMEA、DRBFM。FTA、TRIZなど様々なものがあります。そのため、教科書を読んで何となくは知っているが、それぞれの違いや関連、使い分けや何に役立つのかなど、基本的なことを含めてよく分からない、といった方も多いのではないでしょうか? ここでは、品質技法についてよくある質問や誤解を取り上げ、説明していきます。
<1.FMEAとFTAの違いについて>
Q: FMEAとFTAの違いがよくわかりません。書籍やインターネットなどでFMEAのやり方を調べましたが、それらに従って進めると結局はFTAと同じようなものになってしまいます・・・
A: 一言でいうと「FMEAは故障予測」、「FTAは再発防止」です。故障予測とは、何が起きるかを想像することです。一方で再発防止では、何が起きたかを“さかのぼる”ことが重要となります(JISにも出ています)。
また、FMEAを不良リストのように扱っている企業が散見されますが、これはFMEAの本来の姿ではありません。不良リストを作るのは、同じ事故や不良を起こさないようにするためですが、これは再発防止(FTA)であって、FMEAではありません。不良リストを作ってFMEAを実施していると思っている企業が多いことは残念なことで、こうしたことがFMEAとFTAを混同してしまう一因かもしれません。
<2.FMEAの書式について>
Q: FMEAの書式にはいろいろなものがありますが、良し悪しや選択の基準はあるのでしょうか?
A:そうですね、まず、世界で最も流通しているFMEAの書式は、自動車業界の規格であるISO/TS16949のものです。ただ、この書式にも数通りのもの があります(もちろん基本は同じですが)。さらに、各企業独自の書式もあり、ISO/TS16949の認証を取得している企業も多少工夫しながら使ってい ます。また、トヨタ方式と言われるDRBFMの書式も広く使われています。
ただ、一番重要なことは、FMEAがきちんとできているかということです。FMEAの本来の目的は故障予測であり、それができているのであれば、実のところ書式にそれほどこだわる必要はないのです。
<3.研究開発とFMEA>
Q:研究開発にもFMEAは役立つのでしょうか?
A:もちろん、研究開発にも役立てることができます。たとえば、事業化(商品化)が見込める段階になった時点では、FMEAを実施することは非常に重要です。 ただし、まだ事業化も見えない技術を確立する段階で、「コストを無視してもいいから、とにかく一つできればいい」という場合は、FMEAを実施するより も、技術確立に力を入れたほうがいいでしょう。このような状態でFMEAを実施すると本来の技術確立が延滞してしまう可能性があるので気をつけてくださ い。